バロック・古典を音楽的に表現するために [音楽]
ピアノにはたくさんの素晴らしい曲がありますが、
ピアノの曲で何が好きですか?
と聞かれた時、きっと最も多く上がるのは、ショパンやリストなどの作曲家が活躍した「ロマン派」と呼ばれる時代の曲ではないかと思います。
もちろん、その前の時代区分である「古典派」に活躍したベートーヴェンやモーツァルトも人気が高いですね。
では、実際にクラシックの曲を勉強している学生さんやピアニストの方はどうでしょうか。
私のまわりでは、やはりロマン派の時代の曲、または、ロマン派よりも後の時代の「近・現代」の区分に属する、ドビュッシーやラフマニノフなどが多かったです。
かく言う私も、好んで演奏したりするのは専らロマン派以降の作品達です。
それは何故か。
理由はいくつかありますが、その中の一つに、古典派の音楽表現の難しさがあります。
楽譜自体はロマン派以降の作品よりも単純で譜読みもしやすいのに、「音楽表現の難しさ」とはどういうことなのか。
それは、古典の曲を弾いているはずなのに、ロマン派の曲を弾いているような演奏になってしまう、という事なのです。
この「難しさ」に直面する奏者は本当に多くいます。
私個人が思いつく理由は二つあり、まず一つ目は、ピアノそのものに原因があるということです。
現代で使用されているピアノと古典派の時代に使われていたピアノとではピアノそのものの性能が違う為、弾き方もなるべくその時代の音量や音質に合わせていかないといけないのです。
例えば、モーツァルトは軽やかで明るい曲が多いですが、それをリストのようにダイナミックに弾いてしまうとそれはモーツァルトの音楽ではなくなってしまいますね。
逆に、ピアノの鍵盤数や大きさがどんどん変化していった、というかさせていったベートーヴェンを、モーツァルトの様な軽やかさで弾いてしまうと、ベートーヴェンの力強さや緊張感は失われてしまいます。
今二つの例を上げましたが、同じ時代区分のこの二人でさえ、時代背景やピアノそのものの性質、音楽的な性質の違いによって全く違う弾き方をしなければならないのです。
もう一つの理由としては、演奏する私達に原因があり、ロマン派以降の曲を弾く機会の方が圧倒的に多いということが挙げられると思います。
この様にロマン派以前の曲を演奏する際に困ってしまう事が多い為、4/17に行われた関本昌平先生による『バロック・古典を音楽的に表現するために』という講座を受講させていただきました。
この講座では、どのようなアプローチでバロック・古典を仕上げていけばいいのか、そして、ベートーヴェンはベートーヴェンらしく、モーツァルトはモーツァルトらしく、ハイドンはハイドンらしく、それぞれ弾き分ける方法を紹介していただきました。
全てをここに記すことは出来ませんが、私が一番印象に残ったのは、古典っぽく聴こえるフレーズの切り方とロマン派っぽく聴こえるフレーズの切り方についての部分でした。
ポイントは、「余韻」なのだそうです。
手首や腕をくねらせると、その動きがそのまま音に伝わります。
くねらせることで指にかかっている重みが僅かにずれたり、離鍵する(鍵盤から指を放す)タイミングをゆったりさせることで響きが生まれるからです。
全部が全部、というわけではありませんが、緊張感が欲しい部分でこれをしてしまうと、たちまちロマン派っぽくなってしまうのです。
ですので、緊張感を持続させる切り方とは、その逆なんですね。
手首をくねらせて上げるのではなく、手首はあまり動かさずなるべく水平のままで、指先を使って弾く、ということなのです。
これにはけっこう高度な技術がいります。
ロマン派の弾き方に慣れている奏者は、くねらす癖がついている方が多いと思います。癖を出さないようにするのって大変ですよね。
また、手首の動きに頼れないので、指先がしっかりしていること(でも他の部分は固めてはいけない。脱力が大事。)、指が独立してパラパラ動くことなど、指先の技術が必要となるのです。
これは日々の練習の積み重ねでしか得ることは出来ません。
しかし、関本先生のお話と実際に弾いてくださった音や腕・手首・指の動きを見て、確かにそうなんだ、これだったんだと納得しました。
世界的ピアニストの方々の動画を是非見てみてください。
なかなか個性的な方もいらっしゃいますが、姿勢や腕の動き、手の上げ方など、観察すると見えてくるものがあります。
今回の講座で、ちょっと苦手としていた古典の曲も、また勉強してみると新しく発見できることが多いかもしれないと希望が持てました。
あまり細かくは書けませんでしたが、この記事をお読みになって「なるほど~」など思われた方は、よろしければ是非試してみてください^^
ピアノの曲で何が好きですか?
と聞かれた時、きっと最も多く上がるのは、ショパンやリストなどの作曲家が活躍した「ロマン派」と呼ばれる時代の曲ではないかと思います。
もちろん、その前の時代区分である「古典派」に活躍したベートーヴェンやモーツァルトも人気が高いですね。
では、実際にクラシックの曲を勉強している学生さんやピアニストの方はどうでしょうか。
私のまわりでは、やはりロマン派の時代の曲、または、ロマン派よりも後の時代の「近・現代」の区分に属する、ドビュッシーやラフマニノフなどが多かったです。
かく言う私も、好んで演奏したりするのは専らロマン派以降の作品達です。
それは何故か。
理由はいくつかありますが、その中の一つに、古典派の音楽表現の難しさがあります。
楽譜自体はロマン派以降の作品よりも単純で譜読みもしやすいのに、「音楽表現の難しさ」とはどういうことなのか。
それは、古典の曲を弾いているはずなのに、ロマン派の曲を弾いているような演奏になってしまう、という事なのです。
この「難しさ」に直面する奏者は本当に多くいます。
私個人が思いつく理由は二つあり、まず一つ目は、ピアノそのものに原因があるということです。
現代で使用されているピアノと古典派の時代に使われていたピアノとではピアノそのものの性能が違う為、弾き方もなるべくその時代の音量や音質に合わせていかないといけないのです。
例えば、モーツァルトは軽やかで明るい曲が多いですが、それをリストのようにダイナミックに弾いてしまうとそれはモーツァルトの音楽ではなくなってしまいますね。
逆に、ピアノの鍵盤数や大きさがどんどん変化していった、というかさせていったベートーヴェンを、モーツァルトの様な軽やかさで弾いてしまうと、ベートーヴェンの力強さや緊張感は失われてしまいます。
今二つの例を上げましたが、同じ時代区分のこの二人でさえ、時代背景やピアノそのものの性質、音楽的な性質の違いによって全く違う弾き方をしなければならないのです。
もう一つの理由としては、演奏する私達に原因があり、ロマン派以降の曲を弾く機会の方が圧倒的に多いということが挙げられると思います。
この様にロマン派以前の曲を演奏する際に困ってしまう事が多い為、4/17に行われた関本昌平先生による『バロック・古典を音楽的に表現するために』という講座を受講させていただきました。
この講座では、どのようなアプローチでバロック・古典を仕上げていけばいいのか、そして、ベートーヴェンはベートーヴェンらしく、モーツァルトはモーツァルトらしく、ハイドンはハイドンらしく、それぞれ弾き分ける方法を紹介していただきました。
全てをここに記すことは出来ませんが、私が一番印象に残ったのは、古典っぽく聴こえるフレーズの切り方とロマン派っぽく聴こえるフレーズの切り方についての部分でした。
ポイントは、「余韻」なのだそうです。
手首や腕をくねらせると、その動きがそのまま音に伝わります。
くねらせることで指にかかっている重みが僅かにずれたり、離鍵する(鍵盤から指を放す)タイミングをゆったりさせることで響きが生まれるからです。
全部が全部、というわけではありませんが、緊張感が欲しい部分でこれをしてしまうと、たちまちロマン派っぽくなってしまうのです。
ですので、緊張感を持続させる切り方とは、その逆なんですね。
手首をくねらせて上げるのではなく、手首はあまり動かさずなるべく水平のままで、指先を使って弾く、ということなのです。
これにはけっこう高度な技術がいります。
ロマン派の弾き方に慣れている奏者は、くねらす癖がついている方が多いと思います。癖を出さないようにするのって大変ですよね。
また、手首の動きに頼れないので、指先がしっかりしていること(でも他の部分は固めてはいけない。脱力が大事。)、指が独立してパラパラ動くことなど、指先の技術が必要となるのです。
これは日々の練習の積み重ねでしか得ることは出来ません。
しかし、関本先生のお話と実際に弾いてくださった音や腕・手首・指の動きを見て、確かにそうなんだ、これだったんだと納得しました。
世界的ピアニストの方々の動画を是非見てみてください。
なかなか個性的な方もいらっしゃいますが、姿勢や腕の動き、手の上げ方など、観察すると見えてくるものがあります。
今回の講座で、ちょっと苦手としていた古典の曲も、また勉強してみると新しく発見できることが多いかもしれないと希望が持てました。
あまり細かくは書けませんでしたが、この記事をお読みになって「なるほど~」など思われた方は、よろしければ是非試してみてください^^
2017-05-03 00:14
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